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【書評】「ベストセラーコード 売れる文章を見極める驚異のアルゴリズム」に感心してる場合ではない

読みました。

 

数ある小説の中でランキングを席巻するベストセラー、その文章をアルゴリズムによって分析しどんな本が売れるのか売れないのかを明らかにした本です。
売れる本にはどんなパターンがあったのか?想像できますでしょうか。

ここではその内容を一部ご紹介。

 

 

概要

『ダ・ヴィンチ・コード』、『ミレニアム』シリーズ、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』――。ベストセラーが売れるのは偶然なのか? それとも黄金の法則が存在するのか? テキスト・マイニングと計量文献学の最新技術を駆使して読者を魅了する秘密のDNAを明らかにした、文学界騒然の注目作。

 引用 URL:https://www.amazon.co.jp/

調査対象はニューヨーク・タイムズ。つまりアメリカの小説市場の調査です。しかし読めばなるほど、日本人でも納得できそうな解析結果がありました。

ここからは私的要約と感想になるので、著者らの記述や意見とは一致しない点もあることご了承ください。

 

私的要約

Q. 売れる本の特徴ってなんだったの?

テーマ

身近でかつ危機的ドラマを感じさせる裁判・医療。一方SF・超ニッチな職業などはベストセラーになりにくい。また共通しているのは事件がひたすら連続するのでなく、日常のあたたかな交流が大きな割合を占めるということ。

数多く売れる作家はいろんなテーマの作品を生み出すが、どの作品にも作者のバックボーンに基づくような得意分野の知識がかなりの割合で含まれている。

プロット

まず長すぎないこと。そして多くの人に親しまれる小説の、物語の進みと感情のポジティブ/ネガティブをグラフにした曲線は7つのパターンがある。

ここではその7パターンを紹介しないが、ひとつ言えるのは必ずしもハッピーエンドでもバッドエンドでもないということ。

文体

日常的に使われるような、くだけた言葉の、文章ひとつひとつが短く区切られた、伝わりやすい表現の本が好まれる。

小難しい言葉で、ひとつひとつが長い文章は、格式ある○○賞を取ることはあってもベストセラーにはなりにくい。

 

キャラクター

自分の欲求とニーズを持って、主体的に行動する主人公が好まれる。needとかwantとか使う。

一方、悩んだり立ち止まったり流される感じの主人公は好まれない。(とてもアメリカ的ですね)

 

と、以上がベストセラーの特徴概要でした。私の本題はここから。

 

ベストセラーのような人

本書では「ベストセラー度の高い小説トップ10」を選出している。そのNo.1に選ばれた作品の著者デイヴ・エガースは、どうやらその本人がベストセラー的な人生を歩んできたらしい。

両親を亡くし幼い弟を育て、その回想録がベストセラーに。その後もノンフィクションだけでなく小説でも数々の受賞とベストセラー入りを果たし、さらには貧しい子供たちのための教育機関の設立などチャリティー活動にも精力的な、まさしく行動主体性をもってドラマの中を生きる男性のようなのだ。



…これが私にはぐらっときた。べつに小説家志望でもないし、読書は好きでもフィクションは手に取らず後回しにしがちなほうだ。この本も興味本位で読んだ。日頃からフィクションには娯楽以上の読む意味が見いだせないと言っていた。

でもデイヴ・エガースのエピソードと、先述の要約にあった「文体」「キャラクター」のくだりを読んだら思い当たってしまった。
「多くの人に求められる本(ベストセラー)の特徴は、多くの人に求められる人の特徴そのままではないか?
 その逆の求められない本の特徴は、求められない『人』の特徴ではないか
ということに。

 

何者にもなれない私が何かになれるとしたら

文語的な表現を使いがちで伝わりづらかったり、行動重視すると言いながら受け身で分析・評論に終始しがちだったり…
そんな欠点に心あたりがある私は、意外にもこの本で自分を見つめなおすことになった。あらためて自分を変えたくなった。

しかしこの歳まで持ってきた性分を、どうしたら変えられるだろうか。

Tipsを蓄えて日々気をつける

これは難しい。少なくとも私はなんども挫折してきた。ほかに気を付けたいこともたくさんある中で、知識をもとにリマインドを繰り返しても定着は難しかった。
思うにもっと「腹に落とす感じ」が必要なのだ。自分の五感と感情に食い込むような体験がほしい。そうなると

理想的な人と仲良くなり一緒にいる

どうやらこれが一番手っ取り早いらしい。「普段自分が一緒にいる時間の長い人TOP5がそのままあなたの人格を表す」って本で読んだことがあるし。実際、ふだん仕事で一緒にいる時間の長い人からの影響は大きいなと日々感じている。


人は人に影響される。なので自分がなりたい感じ人が身の回りにいるなら、その人とがっつり仲良く濃密に過ごせばいい。

でも今現在自分のこれだ!という人に巡り会えなかった場合はどうしよう?また仲良くなれそうでもなかったら?そして想像だが、そういうめぐり合えてない人のほうが多いんじゃないだろうか?

だったら、本の中で探してみればいい。

物語に会いに行く

たとえば言葉遣づかいがきさくで、感情豊かで共感度が高く、目的と主体性を持って行動する、そんな主人公のような人に会いたいなら、それはきっと物語の中でなら見つけることができる。もちろんノンフィクションでもいい。ドラマであなたを釘付けにして離さず、その人柄と影響力であなたを魅了する、あなたのなりたい主人公に会いに行こう。

…と、この「ベストセラーコード」で、なりたい人に会いに行く、その旅をするのが小説を読むとことの意義なのかもしれないと気づいた。これからは知識をため込むだけでなく、評判の人を訪ねるような気持ちで本を開いていこうと思う。

 

まとめ

ベストセラーは

・テーマが身近でかつドラマを予感させるもの

・何より日常的な温かい交流を多く含む

・プロットは7つの盛り上がり方の山がある

・文章は人に伝わりやすいかんたんな文章

・キャラクターは主体的

・そういう人に私はなりたい

 

分析はほどほどに、書を持って街に出よう。

以上、情報共有でした!